1.骨粗鬆症

定義:骨量が減少して骨組織の微細構造が変化し、そのために骨がもろくなり骨折しやすくなった病態を言う。

 老年医学で問題になる骨粗鬆症は、閉経後の女性に認められる閉経後骨粗鬆症と老年期に認められる老人性骨粗鬆症であり、両者を含めて退行期骨粗鬆症と総称する。
 骨組織では、たえず吸収(破壊)と形成が繰り返されているが、このバランスが崩れて、骨吸収(骨破壊)が相対的に骨形成を上回るために骨量が減少すると考えられる。骨量の個体差は大きいが、日本骨代謝学会の診断基準では、骨量が骨量頂値(一般的に骨量は20歳から45歳にかけて最大隣、この間の平均値を骨量頂値と呼ぶ)の70%未満の人を骨粗鬆症と診断している。
 骨量を規定する要因は、遺伝因子(原因遺伝子は多数存在すると考えられているが、現時点では、I型コラーゲン遺伝子およびインターロイキン6遺伝子の変異体が候補遺伝子として同定されている)と環境因子(骨量減少速度に影響し、閉経による女性ホルモンの不足、カルシウム、ビタミンD・K不足、蛋白質のどの栄養不足、運動不測、喫煙、過度のアルコール摂取等)により規定される。老人性骨粗鬆症では、副甲状腺ホルモンの過剰も影響すると言われている。加齢にともない腸管からのカルシウム吸収が減少し、そのために副甲状腺ホルモンの分泌が亢進し、血中の副甲状腺ホルモンのレベルが高値となり、骨の吸収(破壊)が亢進する。また、加齢にともない活性型ビタミンD(25-OH-D)の血中レベルが低下するために、骨形成も低下し、骨量が減少する。

 老人性骨粗鬆症が問題になるのは、骨折の危険性が増大し、ADL(日常活動動作)を低下させ、QOL(生活の質)を損なうからである。

 高齢者の骨折予防には、骨を丈夫にすることも大切であるが、転倒予防、筋力、バランス能力などの医事増進が必要である。転倒予防の環境整備(屋内・屋外の段差をなくす、足元を照らす、手すりをつける、室内を整理整頓する、不安定な履物をはかない、滑りやすい道を歩かない、など)をする。また、高齢者は静かに立っているようでも重心の揺れや、麻痺、関節痛、筋力低下を有していたり、各種薬物の服用により、ふらつきやすくなることもあり、そのような身体的要因の対策も必要である。