| ケアプランと記録の教室 2003,日総研,Vol.1,No.2 |
| 特集 これで時間短縮が実現できる 介護療養型医療施設におけるケアプラン・記録の効率化に向けた取り組み |
| 川崎田園都市病院 看護部長 星野 マスヨ はじめに 2000年に介護保険制度が施行されてから4年が過ぎ,介護支援専門貞の配置とケアプランが必須のものとなり,ケアプラン作成は日常業務の中に組み入れられた。本稿では,当院のケアプラン作成の取り組みについて紹介する。 当院の概要 当院は,1985年12月1日に柿生病院(特例許可老人病院,194床)を開設したが,医療法改定により患者1人当たり6.4uを確保するためには手狭なため,近隣に新たな場所を確保し,2001年8月1日に新築移転して,名称を川崎田園都市病院と改めた。 介護療養型医療施設として開設し,病床数は305床で6病棟である。内訳は介護療養病棟194床(4病棟),および老人性痴呆疾患療養病棟111床(2病棟)で,平均要介護度は4.54,平均在院日数は998.1日である。また,看護科職員は准看護師69名,看護補助者83名,入浴介助者12名,滅菌室勤務1名,病棟クラーク3名である。寝たきりでADL全面介助を必要とする患者が約7割入院していることから,限られた職員で効果的なケアプランを作成することは非常に困難が予測された。このため,ケアプラン作成は介護にかかわる全員で受け持つこととし,実行可能な問題を一つずつ解決できるケアプランを作成することを目標に,ケアプラン作成委員会を結成した。 当院では,「MDS2.1」でアセスメントし,問題領域選定を行い,施設サービス計画書に短期評価などを加えケアプランを実施している。ケアプランが定着するまでに約8カ月を要した。 なお,現在でも病棟管理職は毎日のようにケアプランを新入職員に教育し,すべてのケアプランを評価しながら指導している。 当院のケアフランマニュアル 高齢者ケアの質の向上のために,一人ひとりの患者に対して,実行可能な計画についてケアにかかわる職員で協議し決定した内容を文書化したものである。次にこのケアプランマニュアル作成の実際を述べる。 1)マニュアル作成の留意点 ケアプラン作成委員会では次の方針を掲げ,簡素化したケアプランマニュアルを作成した。 @看護師・介護職員(以下,ケアパートナーとする)・ほかの医療職全員がケアプランにかかわること A看護師・ケアパートナー全員がケアプランを作成できること B勤務時間内にケアプランを作成すること(勤務終了までの30分間をケアプラン作成に当てる) C1人につき1つの実行可能なケアプランを作成すること D看護師1名・ケアパートナー1〜3名でチームを編成すること Eチーム内では看護師がリーダーとして課題の検討,解決などを指導すること 2)アセスメント(MDS2.1)入院から1カ月の間にアセスメントを行い,問題領域の選定を行う。 アセスメント表の記入方法と記入時の注意事項は次のとおりである。 例・1ページの基本情報は(1−1〜1−12)ケースワーカーが記入する ・2ページの入院,入院前の生活は入院時アナムネーゼ聴取担当看護師が記入する ・3ページのAl.A4.A5.A6.はケースワーカーが記入する A2.A8.A9.AlO.All.は入院時アナムネーゼ聴取担当看護師が記入する A3.はケアプラン担当者が記入する *A3:アセスメント基準日はアセスメント開始日を記入する *AlO:終末期に対する希望は,家族の言葉をそのまま記入する 例で示したように,わかりづらいところは理解できるように文章化した。また,問題領域検討用紙で多くトリガーされた項目はガイドラインを参考に,RAPs(検討領域)を選定する。 3)チームアフローチの徹底 医師,看護師,准看護師,ケアパートナー,栄養士,リハビリテーション担当者(理学療法士,作業療法士,言語聴覚士),薬剤師,ケースワーカーなどが連携してサービス担当者会議や,個別のカンフアレンスを行う。 医師は,誰が見てもわかるように病名や処方を日本語で書く。理学療法科では,リハビリテーション会議を行い,医師,看護師,ケースワーカー,医事課とリハビリテーションの進行状況や今後の課題などを毎月1回検討し,ケアプランに取り入れている。このようなことを全員で分担することで,負担を分散している。 4)評価(モニタリング) 目標が達成されたか,効果的であったかなど,3カ月に1回,担当看護師が短期評価を行う。 IT化 IT化が多くの病院で進んでいるが,当院でも入院予約,検査予約,医師の予定,病状説明の予約などは,院内LANを通じてパソコンで確認できるようにした。しかし,急性期患者を持たない当院では,病棟の処方指示は数が少ないこともあり,処方箋は複写式の手書きのものを使用している。 介護支援専門員の役割 現在,介護支援専門員が7名おり,各病棟に1名ずつ配置している。介護支援専門員は,主に各市町村から委託されている介護保険認定訪問調査を1カ月に約20件受け持っている。 記録書式紹介 介護保険制度で示された施設サービス計画書に基づき,各種記録書式はスタッフが理解しやすい書式にした。以下に実際に使用している各書式を,記入効率化に向けた取り組みと共に紹介する。 1)入院時介護計画書(資料1) 入院時から1カ月の間のケアプランができるまでの計画を記載する。ケアプランができるまではこの入院時介護計画書に沿ってケアを行う。入院時に携わった看護師が計画を立てる。 (1)基本的動作 アナムネーゼやサマリーなどにより情報収集し,記入する。 (2)評価 入院時より1カ月以内に担当看護師がケアプランを作成し,短期評価をする。1カ月以内に病状が変化する場合は,入院時介護計画書に中止,変更,追加などを書き加える。転棟時は必ず短期評価をして,日付とサインを記入する。 ![]() 2)入院サービス計画書(資料2) 解決すべき課題,援助目標,援助内容を記入する。短期評価は3カ月をめどに担当看護師が評価する。 ![]() ![]() 3)日課計画書(資料3,4) 長期臥床患者のケアプランは多少個人差があるが,共通サービス(病院の基本的ケアの部分)などはあらかじめ印刷しておき,記入の簡素化を図った。 ![]() ![]() 4)サービス担当者会議(資料5) 患者にかかわる各職種のメンバーが同一時間に集まることは困難な場合もある。合同カンファレンスが開催できない時は,評価用紙を医師,看護師,ケアパートナー,リハビリテーション担当者,栄養士,薬剤師,医療相談室で回覧して記入し,最後に家族にも記入していただくことで解決している。 ![]() 5)介護日誌(資料6) 毎日行っているケア内容をチェックし,ショートカンファレンスを行い,その日の午後に実施,確認して記入する。 ![]() 6)生活表(資料7) 生活表には毎日の排泄(おむつ介助,ポータブルトイレ介助,トイレ介助)・食事(自力摂取,半介助,全介助)・保清拭(入浴,清拭,洗髪,洗面,口腔清拭,髭剃り)・リネン交換(寝衣,シーツ)・リハビリテーション(リハビリテーション,車いす乗車)・面会の項目があり,実施したものには○印,実施しなかったものには×印をつける。また,食事は摂取した割合を○印の上に記入する。 生活表はベッドの足元に下げており,誰でも確認できる。家族も確認できるため,患者の状況把握と安心の提供に一役買っている。 毎月,生活表をカルテに差し込むことにより,カルテ記載やノートへの転記を省略した。 ![]() 7)診療録・看護記録(資料8) @診療録は医師,看護師,その他医療にかかわる職員全員で共用する。 A診療録1冊で患者の状態が把握できる(ケアプランを除く)ようにする。 B医師記録,指示,看護記録は同じ記録用紙に時系列に記録する。 C看護記録は,簡略化をしている取り決め事項をページごとに示す。 D入院が長期にわたり,患者の診療録が厚くなった場合は,別冊にする。 別冊にした分はサマリーを作成して差し込み,そのページには見出し(青色のインデックス)をつける。患者・家族に病状説明をした場合には見出し(赤色のインデックス)をつける。 E紹介状,情報提供書,サマリーなどの情報は1カ所に添付する。 F検査伝票は時系列に添付し,感染症などの異常結果には目印をつける。 ![]() まとめ 施設サービス計画書の書式を紹介したが,ケアプランが確実に実行できているか確認するためには,絶えず見直しが必要である。 当院では,毎月病棟クラークがケアプランをチェックし,短期評価・再アセスメントを行う時期を担当者に示し,評価漏れを防いでいる。 最近はかなり慣れてきたこともあり,日常勤務の中に組み入れ,当たり前のようにケアプランの作成・評価を行っている。しかし,患者やその家族が満足しているか,個別に十分なケアが提供されているかを常に再評価することが大切である。毎日の実績の積み重ねにより,各職員のケアプラン作成スキルの向上を図り,無駄のない効率的な書式を目指し,さらに作成されたケアプランを積極的に見直し,修正を加え,より質の高いケアを目指していきたい。 引用・参考文献 1)池上直己監訳:MDS2.1施設ケアアセスメントマニュアル,医学書院,1999. 2)新津ふみ子,五十嵐智嘉子:MDS方式によるケアプラン事例集(1)在宅・施設での実例より,P1.186,医学書院,2000. |