| 「最新 医療経営 フェイズ・スリー」 No.245, 2005.1 |
| ホテルのような設備を活かし本格派ロビーコンサートを |
老人性痴呆疾患療養病棟である川崎田園都市病院は、患者の在院平均年数が約2年、長い人では20年にもわたるという。そんな長期入院患者にも満定してもらえる環境を提供するため、同院では既存の設備環境を活かした、サービス内容の充実に注力する。なかでも月一回開催されるロビーコンサートは一流のプレーヤーを招くなど、かなりの本格派。同院のアメニティーをのぞいてみた。小田急柿生駅からシャトルバスにゆられること約五分。のどかな田園風景のなか、レンガ色の洒落た建物の川崎田園都市病院が見えてくる。前身である柿生病院から二〇〇一年 八月に新築移転した同院は、療養病床一九四床と老人性痴呆疾患療養病床一一一床の三〇五床を有する。お年寄りの人格と人間性を大切にすることをモットーに、東洋医学もとり 入れた総合的視野から、治療方針を決めている。 「当院では患者さんの“心のケア”を大切にしています。寝たきりや痴呆の患者さんは、心から治療していかないと良くならない」と辺見仁副院長は強調する。このため同院では遊びとリハビリテーションを組み合わせ、リハビリ意欲を引き出す“遊びリテーション”や“音楽療法”など心身一体となって取り組む療法を積極的に取りこんでいる。 同院のアメニティーコンセプトは、患者の立場に立った環境提供。「いくら立派な設備があっても、ほとんどの患者さんが寝たきりなので使っていただけない。ですからサービスの提供で積極的にアメニティーを楽しんでもらうことをめざしています」と星野マスヨ看護部長が話すように、設備環境を最大限に活用したソフト面の充実に力を入れている。 その一つがイベント開催。同院ではレクリエーション委員会を設け、イベントやコンサートをコンスタントに企画している。なかでも、エレガントなロビーで開催される“ロビーコンサート”は本格的。バイオリン、詩吟・津軽三味線、金管四重奏、シャンソンなどバラエティーに富んだ内容で、耳の肥えた患者にも満足してもらえるレベルの高さを保つ。 また、長期療養の患者の楽しみとなるのが日々の食事。同院の食事は外部委託を一切使わない。食材はなるべく地元から納入し、なるべく患者の嗜好に応じたメニューを提供している。また患者が日々食べているものを家族にも理解してもらうという目的で、家族に向けた試食会も予定しているという。 「今後の課題は、食事のさらなる充実化。患者さんが目に見えて楽しまれることをしていけたらと思います。ハード面はこれ以上変えようがないので、あるものを上手く活用して、患者さんに危険がないよう安楽に過ごしていただく環境の提供を心がけたいと思います」(星野看護部長) ともすると、アメニティーの充実=「設備への多額投資」といった短絡的な発想に陥りがち。既存のハード環境に甘んじない同院の取り組みには学ぶべき点が多い。 撮影:関口宏紀 2005.1フエイズ・スリー |